今回は退職時のペナルティとBuyout制度について説明します。
マレーシアの会社を退職する大まかな流れについて確認したい場合は、別記事も併せてご覧ください。
短期就労とペナルティ
マレーシアでは、一定期間勤務しなければ、退職時にペナルティが課せられる場合があります。
具体的には、会社が負担した「就労ビザ代」や「渡航費用」等が従業員に請求されます。
会社によって入社半年未満、1年未満での退職でペナルティが課されるケースが多いので、HR(人事)に確認しましょう。
会社は就労ビザ、渡航のための航空券代、場合によっては数日間のホテル宿泊代を従業員に先行投資しているため、入社して数ヶ月で退職されてしまうと、会社に利益が出ません。
長く従業員に働いてもらい、会社に利益をもたらしてもらうために、ペナルティを設けています。
Noticeとペナルティ
Noticeとは、従業員が退職する旨を会社に伝えることを指します。
具体的には、「2 Months Notice」と書かれていた場合は「退職する2ヶ月前に会社に報告する」という意味です。
マレーシアの会社では2ヶ月のNoticeが一般的です。
「2ヶ月なんて待てない!!今すぐ退職させて欲しい!!」
と会社に伝えると、「であれば、ペナルティとしてあなたの給料2ヶ月分払ってね」と言われます。
「え!?何で!!」と思われると思うので、少し解説しておきます。
会社のNoticeが2ヶ月の場合、2ヶ月の間に、退職者の欠員を補填しなければならないのです。
逆に言えば、2ヶ月の猶予があれば欠員を埋められる可能性が高いわけです。
ところが、「明日退職したい!」となった場合、すぐに退職者の埋め合わせができず、会社としてみれば、本来であれば働いてくれるはずのもう2ヶ月間は、1人分の労働力を失うわけです。
コールセンターを例とすれば、1人が抜けることで電話を取れる人数が限られてしまい、応答率が下がります。
応答率が下がると、クライアントからの契約金を下げられたり、最悪の場合は契約を打ち切られる可能性があります。
以上から、会社の運営が成り立たなくなることを防ぐため、従業員にNotice期間を設けているのです。
補足:欠勤について
退職届を提出した後、「Noticeは守るけど全て欠勤にしたい!」と思う方もいると思うのですが、やめた方がいいです。
というのも、会社でも勤怠を把握しており、毎日休んでいると懲戒の対象にされたり、ペナルティを課される可能性があるからです。
会社としてもペナルティを課すこと自体、好ましくないと思っていると思いますので、余程のことがない限りはNotice期間を守り、最後まで職務を全うしましょう。
Buyout(バイアウト)制度

最後にBuyoutについてご紹介します。
先ほど、短期での退職やNoticeの規定を守らなければペナルティが課されると話をしました。
Buyoutとは、現職で発生するであろうペナルティを転職先が代わりに負担してくれる制度です。
例えば、現職(仮にA社とします)の規定ではNoticeが2ヶ月前となっているとします。
転職先(仮にB社とします)から「1ヶ月後に入社してほしい」と言われた場合、A社の退職規定よりも1ヶ月短いですよね。
A社からは残り1ヶ月分の給料を退職者に請求しますが、これをB社が代わりに支払ってくれます。
また、短期の就労に該当する場合でも、B社がBuyoutに応じてくれればペナルティを肩代わりしてくれます。
ただし、Buyoutは優秀な人材や会社が人集めに苦戦している時に使われる制度なので、必ず転職先に相談しましょう。
まとめ:退職まで辛抱も必要
いかがでしたか?
日本と違い、マレーシアは退職が一筋縄ではいかないことが多いので、可能であればペナルティを払わないベストな時期に退職することをおすすめします。